国籍選択(または国籍喪失)届け出の数

このグラフは、日本国籍選択の届け出、または国籍喪失の届け出(離脱の届け出)をした人の数の推移をグラフにしたものです。(戸籍統計よりYLS作成)

このグラフの元になっている戸籍統計では、これらの届け出のうち、重国籍で育った子供が20歳(2022年度以前は22歳)になる際に届け出されたものがどのくらい含まれているかを知ることはできません。そのため数値には、国籍法第14条に基づく、重国籍で育った子供が20歳(2022年度以前は22歳)になる際に届け出されたもの、そして遅れて届け出されたものだけではなく、国籍法第11条に基づく「自己の意志により外国籍を取得した」際の国籍喪失届の数なども含まれています。

グラフを見ていただくと、2016年に蓮舫議員の二重国籍が指摘された後に届け出数が若干増加しています。その報道が出るまでは国籍選択(喪失)届自体があまり知られていなかったのかもしれません。また、本来であれば、2019年の大阪なおみ選手が日本国籍選択届を提出したことが報道された後にも、届け出数が増加していたかもしれませんが、パンデミック等があり、2020年にかけて届け出数が減少しています。

大阪なおみ選手は日本国籍の選択届を提出されましたが、アメリカ国籍を離脱したかどうかは明らかにされていません。日本の国籍法では、「選択の宣言をした日本国民は、外国の国籍の離脱に努めなければならない。」(国籍法第16条)とされていますが、実際には日本が外国政府の国籍の記録を確認できるわけではないので、日本の国籍選択届を出してもう一方の国籍も持ち続けることも不可能ではありません。例えば、アルゼンチンでは、憲法で国籍の離脱が禁止されていますので、日本の国籍選択届出後もアルゼンチン国籍を離脱することはできません。

2021年・2022年は国籍喪失届の数が倍増しています。これは、2021年に国籍法第11条1項違憲訴訟において東京地裁が初めて合憲判決を出したことが影響しているのではないかと考えています。そうなると、こちらの国籍喪失届の多くは、外国籍を取得した方による届け出ではないでしょうか。

では、2つ目のグラフをご覧ください。

こちらのグラフは、日本人の出生数のうち父母どちらかが外国籍、つまり「ハーフ」の子供の数の推移です。2015年以降は外国で生まれた「ハーフ」の日本人の数もグラフに加えています。また、父母どちらか一方が外国籍であっても必ずしも子供が重国籍であるとは限りませんが(例:日本人の父と父系優先血統主義の国籍を持つ母の子の場合は日本国籍のみ)、仮に大部分が重国籍であったと考えると、例えば2004年に日本国内で生まれた22,173人のハーフの赤ちゃん(外国で生まれた日本のハーフの出生数は含まれない)は2024年に20歳を迎えたわけですが、すべての届け出の総数が10,645件であることを考慮すると、2024年に20歳を迎えた重国籍者大多数が届け出をしないままになっていることが推測されます。

重国籍の子供たちや若者にとって、20歳までに国籍を選ばないといけないと不安を感じながら育つのはとてもストレスフルです。また、国籍選択をしないままの人も、「複数国籍であることを知られたくない」「バレたら国籍はく奪になるかもしれない」と不安を感じているかもしれません。

私たちYLSは、現在当事者でもあまりよく分かっていないことが多い、「日本の国籍選択の届出をする場合」、「喪失の届出をする場合」、「届け出自体をしない場合」などについて、調査活動や情報発信をしていくと同時に、国籍選択の義務自体が見直されることを目指し、署名などの活動も少しずつ展開していく予定です。

一緒に活動に参加してくれるメンバーも募集していますので気軽にお問い合わせください。

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